月の女神マヤリ
ごきげんよう。クンクン博士じゃ。
マヤリ(Mayari)は、月、戦、革命そして平等の女神じゃ。
この世の創造主バッターラが人間の女に産ませた3人の娘の一人。星の女神タラと朝の女神ハナンっちゅー2人の姉妹がおる。
戦と革命の女神と言われるだけあって、並外れた戦闘能力を誇っておったらしい。その卓越した戦闘技術は、太陽・自由・戦略の神で偉大な戦士でもある兄アポラキも苦戦するほどのものじゃったという。
幾多の戦を指揮してきた聡明な頭脳、均等の取れた完璧なプロポーション、引き締まった美しい身体、そして厳しさと優しさを両方たたえた魅力的な顔立ち。
容姿・能力共に超ハイスペックなマヤリは、フィリピン神話で最も美しい女神として崇められておったんじゃ。
ある「事件」が起きるまではの。
そう。あれは偉大な父バッターラが永い眠りに就いた後のことじゃった。
地球の統治を巡って、猛将アポラキと女傑マヤリが激しく衝突したんじゃ。
マヤリ「兄上。ここは平等にいきましょう。一日の前半を兄上、後半を私が管理するというのはいかが?」
アポラキ「いや、父上も御一人で統治しておられたのだ。長兄である俺が一人で管理するのが筋というもの」
マヤリ「しかし、父上は我々二人で、と」
アポラキ「そんなに働きたいのなら、お茶汲み担当に任命してやるよ。あ、後この書類のコピーも頼む」
マヤリ「お茶くらい自分で淹れなさいよ」
アポラキ「黙れ!大事な仕事を女ごときに任せられるか!ガキを産んだらさっさと休みやがるくせに!」
子供の頃から何事も平等でないと気が済まん性分のマヤリ。
パパがおみやげに買ってきたケーキも人数分にきっちりと分け、友達は性別身分問わず平等に接し、マスク不足に乗じて不当に儲けようとする転売ヤーを懲らしめ、女性の社会進出をサポートし、LGBTの社会的地位の向上を図るなど、公平で平等な社会を目指して日々戦ってきた。
そんな彼女が、ブラックな職場で上司がやらかしそうなジェンダーハラスメントを受けて、黙っとるはずがない。
烈火の如く怒り狂ったマヤリは、トラですら一瞬死を覚悟すると言われとる、針のように鋭い眼で兄を睨めつけ、ドスの効いた声で「ちょっと表に出なさいよ」と決闘を申し出た。
アポラキ「馬鹿を言うな。俺には女を痛めつける趣味はない。さっさと家に帰って飯でも炊いてろ」
マヤリ「ほう。私に負けるのがそんなに怖いのですか」
アポラキ「そんなチープな挑発には乗らん」
共に百戦錬磨の屈強な戦士。二人の戦いは何日も続き、こりゃ永遠に決着がつかんのじゃなかろうかと思われた。
が、やがて思わぬ転機が訪れた。
アポラキが見せた一瞬の隙を突いて仕掛けたマヤリの渾身のアルゼンチンバックブリーカーが、綺麗に決まってしもうたんじゃ。
なんとか技を解こうと、必死にもがくアポラキ。
無駄に空気をかき回していた彼の指がマヤリの片目を直撃し、これを潰してしもうた。
「うおっ?!す、すまん!」
事故とはいえ、「ミス女神」に選ばれる程の類稀なる美貌を誇るマヤリの綺麗なお顔に傷をつけちまったんじゃ。彼女のファンどころか、フィリピン神話の住民全てを敵に回す愚行と言って良い。
佐賀牛を食われたくらいで逆上しちまった代償はあまりにも大きかった。
可愛い妹に取り返しのつかないことをしでかしてしもうたアポラキは直ちに負けを認め、「決闘してるんだから怪我するのは当たり前」とまったく意に介さん血みどろの妹をおぶって病院に駆け込み、傷が癒えるまで親身の看病をした。
マヤリが提案しとった地球の管理分担も速攻で受け入れたのは言うまでもない。
ところが、じゃ。
いつもなら戦場でどんなに深い傷を負っても驚異的な治癒能力で復活するマヤリじゃったが、何故か今回は潰れた片目が再生することはなかった。
そのため、かつての鋭い眼光が半減してしまい、地上を見渡すために必要なだけの光が出せなくなってしもうた。
光源不足で苦戦するマヤリ。そんな彼女をサポートするべく、姉妹の「星の女神」タラと「朝の女神」ハナンも協力して地上を照らした。
夜が暗いのはな、そういうわけなんじゃよ。
ネタ元:
佐賀牛
引っ込みがつかなくなって延々と兄妹喧嘩を続けるアポラキとマヤリのテーマ。
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