フィリピンの古代文字バイバイン

ごきげんよう。クンクン博士じゃ。

バイバイン(Baybayin)は、フィリピンに古くから伝わる文字じゃ。「アリバタ(Alibata)」とも呼ばれておる。ブラーフミー系のアブギダ文字から発展した古代文字で、スペイン統治前から使われておったらしい。

こんな感じの文字じゃ。

母音と子音で構成されており、母音は3文字、子音は基本となる14文字と、それに符号を付けてバラエティーを持たせた28文字の合計45文字で成り立っておる。スペイン統治時代には更に14文字が加わり、59文字に増えよった。

母音はa、e、oの3文字じゃ。eはiを、oはuをそれぞれ兼用しとる。

子音の基本形は「子音+母音(a)」じゃ。「ba」、「ka」、「da」…といった感じじゃ。

子音に付与される「クドリット(Kudlit)」と呼ばれる符合は「・」だったり、「>」だったり、「-」だったりする。統一されておらんようじゃ。何でもOKってことかの。もしかしたらニコちゃんマークでもよいのかもしれん。ただし、スペイン人が後で付け加えた「+」マークは別じゃ。

符号を子音の基本形の上に付けたら「子音+母音(eまたはi)」、下につけたら「子音+母音(oまたはu)」というルールになっておる。スペイン統治時代になって、「+」記号を下につけたら子音だけとなるっちゅールールが加わった。

試しに「犬のクンクン」をバイバインにしてみようかの。

表に従うと、「イヌノクンクン」の他に「イノノクンクン」とも「イヌヌクンクン」とも読める。これがスペイン統治前だったら、子音のみのルールがなくなって「イヌノクク」「イノノクク」「イヌヌクク」と、もっと悲惨な状態になる。

当然、正しいタイトルを知らん者がこれをそのまま読んだら、「いったいどっちなの!?」と混乱するじゃろうな。

ところがじゃ。驚いたことに、昔の人たちは限られた文字列の中に隠された発音を読み取り、「イヌノクンクン」と正しく読んでくれるそうなのじゃ。なぜ正しく読めるのかは謎じゃ。現代人が時の流れと共に置き去りにした、古代人のみが持ち得た超能力かもしれん。

余談になるが、タガログ語の言葉に「バハーラ・ナ(Bahala na)」というのがある。自分の手に負えそうにないものと向き合う時、やけっぱちになった時、開き直った時などに「ええい、ままよ!」とか「どうにでもなれ!」とかいう意味で使われる。

「Bahala」は元々フィリピンの神話に出てくる全知全能の神「バッターラ(Bathala)」から来ておるのだそうじゃが、Bathalaがいつの間にかBahalaになったらしい。「Bathala na」=「Bahala na」=「神にお任せ」=「ええい、ままよ!」っちゅーわけじゃな。

これをバイバインで書き表してみよう。Bathalaはスペイン人がキリスト教を広める前の神の呼び名じゃから、「+」符号をつけた文字は使わんことにする。

昔の人が持っておったと思われる謎の解読パワーを使わずにそのまま読むと、「Bahala na」となって、見事現代の言葉とマッチする。もしかしたら「バッターラ・ナ」が「バハーラ・ナ」となった背景には、バイバインの「読み」が関連しとるのかもしれんのう。

諸君も、これを機にバイバインを勉強してみてはいかがじゃな?仲間内の暗号に使えるぞ。

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