サンパギータの伝説

ごきげんよう。クンクン博士じゃ。

フィリピンの国花、ジャスミナム・サンバック。現地では「サンパギータ」の名前で親しまれておるこの可憐な白い花は、その小さな体に似合わず独特の強い香りを持っており、香水の成分や車内に飾って芳香剤代わりに使われたりしておる。

今回はそんなサンパギータの伝説を紹介しよう。

昔々、あるお城に「ギータ」という名前の王女が住んでおった。

ギータの父は残虐非道の悪名高い王として皆から恐れられておったそうじゃ。一人娘であるギータはそんな王の下、王族の一員として厳しく育てられとった。同じ王族の男の許に嫁ぐべく、ハーバードかどこか知らんが、海外の有名どころの学校にも行かされとったらしい。

ところが、一方のギータは、「サンパ」という名の奴隷の子と密かに恋仲になっておった。

サンパとギータ…二人合わせて「サンパギータ」… これでこの話のオチはもう半分以上分かってしまったも同然じゃな。

ま、とにかくじゃ。二人の「身分違いの恋」は間もなく王の知るところとなり、ギータは怒り狂った王に散々怒られた挙句、今後サンパとの交際を禁じられることになるのじゃ。

しかし、恋というものは、障害があればあるほど激しく燃え上がるものじゃ。切羽詰ったサンパとギータは二人手を取り合って城を去り、森の奥に逃げ込みよった。

王は二人の駆け落ちを知るや、早速兵士たちを森に向かわせた。「見つけ次第、二人を殺せ」と命じてな。

二人はあっけなく捕まり、その場で殺されてしまうのじゃが、兵士から任務達成の報告を受けた王は、喜ぶどころか逆に酷い罪悪感にさいなまれたそうじゃ。そして二人が生き返り、自分を許してくれることをを切に望んだ。

自分で殺しといて、今度は生き返ってきてくれという。この王とやらも、ずいぶん勝手な男じゃのう。

それから数日後、傷心の王は森の奥に入り、二人の亡骸が埋められている場所へと向かったのじゃが、そこには今までに見たこともない小さな白い花が咲いておった。あたりは謎の白い花が放つ独特の甘い香りに包まれており、その香りを嗅いだとたん、心の痛みがスーーッと癒されていくのを感じたそうじゃ。

王は、花がサンパとギータの生まれ変わりであり、香りは二人が自分を許してくれた証拠と(勝手に)解釈し、喜んだ。そしてその花を(これまた勝手に)「サンパギータ」と名づけたということじゃ。

Jasminum sambac.jpg

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