マヨン火山の伝説

ごきげんよう。クンクン博士じゃ。

ビコール地方アルバイにあるマヨン火山は、きれいな円錐形をしたとても美しい山じゃ。その美しさは日本の富士山に匹敵するじゃろうな。

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その美しさをたたえるように、マヨン火山にまつわる美しい伝説がいくつかあるが、そのうちの一つを紹介しよう。

その昔、「マガヨン」ちゅー名の、それはそれは美しい娘がおった。その美しさは部落という部落に知れ渡り、多くの男たちが競って結婚を申し入れとったが、その中に「パグトガ」というイリガ族の長がおったそうな。

このパグトガという男はたいそう狩りがうまく、戦闘能力に長けた男じゃったそうだが、同時にすこぶる傲慢な男でもあったらしい。ま、この類の伝説で「誰からも愛される人のよい悪役」なんぞ出てくることはまずないんだがの。

ところがどっこい、マガヨンちゃんにはすでに「パガノロン」っちゅーボーイフレンドがおった。川で水浴びしとった時に足を滑らせ、すんでのところでおぼれ死ぬところを、ちょうど近くを通りかかったパガノロン君が助けたそうじゃ。まったく要領のいい、もとい、運のいい奴よのう。

ちなみにパガノロンはマガヨンちゃんが住んでおる集落から遠く離れたタガログ地方の出身だそうな。いうなれば「よそ者」じゃな。いちおうカリラヤ首長の勇敢な息子ということになっとる。高貴な美女の相手はどうしても由緒正しい家柄でなければいかんらしい。

マガヨンちゃんと相思相愛の仲になったパガノロン君は、マガヨンのお父様マクソグ首長の許に赴き、娘との婚約の許しを得るが、それを知ったナルシストの悪役(ヒール)パグトガは烈火のごとく怒り狂った。

で、何をしたかっちゅーと、言葉巧みにマクソグ首長を山におびき寄せ、そのまま監禁してしもうた。そしてマガヨンちゃんに「俺と結婚せい。さもなくばお前の親父の命はないぞ」と脅迫したんじゃと。なんだかフィリピンの連続テレビドラマによくある展開になってきたのー。

哀れなマガヨンちゃんは、父上の命を救うために泣く泣くパグトガとの結婚を承諾するが、それを知ったパガノロン君は兵を引連れ、パクトガと激しい戦いを繰り広げたそうな。

見事パグトガを倒したパガノロン君の許に走りよるマガヨンちゃん。しかし、よほど嬉しかったのじゃろう、まだ敵兵がうようよしている戦場にいるということをころっと忘れてしもうたようじゃ。で、どこからともなく飛んできた矢に後ろから射抜かれ、死んでしもうた。

一方、パガノロン君もパクトガの側近が投げた槍を体に受けて死んでしまう。二人とも、一瞬の気の緩みが命取りになるよい例じゃな。ちなみにこの側近はその後マクソッグ首長にやられてしまうのだそうじゃが、そんなことはこの際どうでもよい。

こうしてせっかくフリーの身になった途端に悲運の最期を遂げた二人は、マクソグ首長の手で手厚く葬られた。ちょうど二人寄り添うような形で埋葬されたらしい。ロマンチックじゃのー。

そして...

数日後、マガヨンちゃんとパガノロン君を埋めた辺りの土がなぜか盛り上がり始めたそうな。

天に向かってどんどんどんどん盛り上がり、ついには一つの山となり、そして爆発した。あたり一面を揺るがすほどの猛烈な噴火じゃったそうな。「永遠の愛は、死してなおその激しさを示して止まない」ということを教えておるわけじゃな、この伝説は。

やがてその山は、類まれなる美貌の持ち主マガヨンちゃんを偲んで「マヨン」と呼ばれるようになったそうな。

パガノロン君は・・・知らん。女の方が強いフィリピンでは、男の存在というのは影が薄くなりがちなんじゃよ。周りをよー見回してみい。ローカルテレビのバラエティー番組にはりきって出場しているのも、病気の子供のためにテレビに出て治療費の寄付を涙ながらに訴えているのも、朝夕のラッシュ時にジープニーの座席にちょこんと座っているのも、目に付くのは女性ばかりじゃろうが。

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