我が家では、愛犬たちにそれぞれ専用のケージを与えており、外に出す時は常に一匹づつにしている。

 

幼犬の頃はみんな仲良く一緒に遊んでいたのだが、成犬になるにつれて同性同士の対立が激しくなったため、お互いに接触させないようにしているのだ。

 

特にぱうぱうとその長男のぶらうにーは仲が悪く、一度喧嘩すると引き離すのに苦労する。

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そういう訳で、塀のないマロロスの家に引っ越して以来、犬達は一日の大半を自分たちのケージの中で過ごしているのだが、最近皮膚病に罹ってしまったぱうぱうだけは、治療のために自宅の中で飼っている。彼は他のみんなよりも神経質なところがあるので、突然の環境の変化でストレスが溜まったのかもしれない。

 

事件は、すっかり習慣になった愛犬たちの散歩の最中に起きた。

 

ぶらうにーを犬のトイレに連れていったところ、思わぬ先客がいた。猫が道の真中で日向ぼっこしていたのだ。興奮して吠えまくるブラウニー。襲ってこれないとみて安心し、まったりとくつろぐ猫。

 

結局トイレでの予定滞在時間を大幅にオーバーし、用を足し終えてやっと帰路についたその時、家の方角からぱうぱうがこちらに駆けてくるのが見えた。

 

一瞬、事態を把握できなかった私は、ぶらうにーと共にボケーッとその場に突っ立っていた。

 

あれ?ぱうぱう?鎖に繋がれてるはずの君が、なぜこちらに走ってくるの?

 

なぜか辺りの時間がゆっくりと流れているように感じ、スローモーションで迫ってくるぱうぱうの美しい走りに見惚れていた。

 

が、彼らが組み付いた瞬間、私は現実に引き戻された。

 

ヤバイ!引き離さなきゃ!

 

ぶらうにーに襲いかかったぱうぱうだが、首に取り付けて皮膚病に冒された患部を舐めないようにする「ランプの傘みたいなもの」に動きを邪魔され、かつ若くてパワフルなぶらうにーのフットワークが勝り、逆に首に食いつかれてしまった。

 

頑丈な首輪と「ランプの傘みたいなもの」のお陰で傷は浅いが、一度噛み付いたら最後、慌てて駆けつけてきたカミさんと二人で力任せにぶらうにーの首輪を引っ張っても、口に指を掛けてひっぺがそうとしても、頑として離そうとしない。

 

やがて、ぱうぱうの首からドクドクと血が流れてきた。引っ張ることで逆に傷を広げてしまったらしい。

 

まずいな。このままではぱうぱうが死んでしまう。

 

幸い早朝だったため、辺りに人はいなかったが、道の真中でワイワイやっているのもアレなので、とりあえず二匹を組み付かせたまま家の前庭まで移動した。

 

これ以上引っ張っては駄目だ。でも、早く引き離さなければ手遅れになってしまうかもしれない。

 

焦りがピークに達したその時、昔ネットで拾ったある情報が脳裏をかすめた。

 

私「そうだアレだ!アレを持ってきて!」

カミさん「アレ?!アレって何?!」

私「何ってアレだよ!前に言ってたやつ!えーっと、酢!そうだ酢だ!酢を持ってきて!早く!」

 

どこかのサイトで「酢を犬の鼻にふりかけると、犬が臭がって口を開ける」という情報が載っていたのを思い出したのだ。

 

早速カミさんが家の中に駆け込み、台所から持ってきた酢をぶらうにーの鼻面にぶちまけた(カミさんもテンパっていたため、加減する余裕がなかった)ところ、見事二匹を引き離すのに成功した。

 

膨大な量の情報が氾濫し、鵜呑みに出来ない情報も少なくないインターネットだが、今回はその中の「本物の情報」に助けられた。情報主さん、ありがとう!

 

今回の事件は、猫の出現に興奮したぶらうにーの吠え声にぱうぱうが反応して暴れ、さらに悪いことに、ちょうど古くなって緩くなっていた鎖が外れてしまい、さらにさらに悪いことに、家の中の淀んだ空気を入れ替えようと全開にしていた玄関のドアから外に駈け出たことから始まった。

 

そうなのだ。全ての責任は、あの時あの場所にいた、あの忌々しい猫にあるのだ。


この事件以降、ぱうぱうの鎖を取り替え、犬達の散歩中は必ず玄関のドアを閉めておくようにした。また、非常事態に備えて、酢を霧吹きに入れて用意しておくことにした。

 

ぱうぱうはというと、出血が多かった割に傷は大したことなかった。今では皮膚病の治癒も進み、元気を取り戻している。