「マンドゥルゴ(Mandurugo)」とは、「ドゴ(Dugo=血)を飲む者」っちゅーことで、ずばり吸血鬼のことじゃ。

 

マナナンガル、ランスール、アスワン、チャーナック、エクエク、アマランヒグ…

 

フィリピンには、人間の生き血を吸って生きとる妖怪がたくさん棲んでおる。今回紹介するマンドゥルゴもその一種なんじゃが、オリジナリティーの欠片もないまんまなネーミングからして、すでにプンプンと手抜き臭が漂っとる。

 

日中は人間の姿をしており、真夜中をすぎる頃になると背中にコウモリの翼を持つ化け物に変身し、何も知らんとスヤスヤ眠っとる獲物の頸動脈に先の尖った舌を突き刺して、チューチューと血を吸うといわれとる。

 

…夜中に変身し、人間の生き血を吸い、背中にコウモリの翼を生やしており、舌がストロー…これも、マナナンガルの設定をほとんどコピっとるし。

 

そんな適当極まりないマンドゥルゴにも、一応伝説がある。ちと読んでみようかの。

 

えー、昔々、あるところに、ぶちめんこい女子高生がおった。

便宜上、この子の名前を「メリーちゃん」としとく。

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で、この美貌のJKメリーちゃんじゃが、わずか16歳という若さで、トライシクルの座席に収まりきらんほど丸々と太った男とさっさと結婚しちまった。

…まあ、ポッチャリ系がタイプなんじゃろう…人の好みはそれぞれじゃからな…うん…

 

ところが、じゃ。

 

結婚後、あんなに肥えとった夫がみるみるうちに痩せ細り、1年も経たんうちにポックリ逝ってしもうたんじゃ。

 

結婚早々夫に先立たれちまったメリーちゃんは、今度もMRTの座席を2つも占領するほど太った男と結婚するんじゃが、こやつもなぜかこのサイトの管理人のようなガリガリ君になって、約1年後に死んじまうことに。その直後に結婚したデブっちょ3号も、やっぱり同じ運命を辿ったんじゃ。

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…なんだか、若いオナゴとの甘美な生活を夢見てフィリピンにやってきたのはよいが、おいしい話と甘い言葉に釣られて散々搾り取られた挙句、すっからかんになった途端にポイと捨てられちまった哀れな困窮邦人たちみたいじゃな…

 

そんな「デブの死神」じみてきた彼女と、無謀にも交際を始めたデブっちょ4号。さすがに「なんかおかしい」と思ったようじゃが、しょせん若いオナゴの身体から発散されるフェロモンの匂いに抗えるはずもない。よせばいいのに、結局結婚することにしたんじゃと。(ため息)

で、結婚したはよいが、自分もデブっちょ1~3号のように死んでしまうかもしれないと思うと恐ろしくてたまらん。忍び寄る死の影に怯え、眠れん夜が続いた。

 

…そんなにビビるくらいなら、最初から結婚しなきゃ良かったじゃろ?

 

そしてある夜、ついに死への恐怖がピークに達したのか、ナイフを片手にベッドに潜り込んだ。

 

…どうも夜に誰かに襲われるのが確定事項になっとるようじゃが…美貌の若妻相手に頑張りすぎて精力を使い果たしちまったとか、ダイエットに励み過ぎて拒食症になっちまったとか、ブラック企業に勤めてて過労死したとか、事故死や病死の可能性は全てスルーかの?

 

午前0時を少し過ぎた頃じゃろうか、真っ暗闇の中、突然何者かが身体に覆いかぶさってきたと思ったら、首筋に刺すような痛みが走った。

 

…今まで何もなかったのに、ちょうど武器を手にした夜に異変が起きてくれましたってか?ご都合主義も、ここまで来るとむしろ清々しいのう。最近のマンガやアニメだって、さすがにここまで酷くはないぞ?

 

「うわvどdfpひtg!」半狂乱状態に陥ったデブっちょ4号。ろくに相手を確認しないまま、反射的にナイフを相手の胸に深々と突き入れた。

絶叫を上げた相手はデブっちょ4号から離れると、「バッサバッサ」という音とともに、窓から闇夜に消えていった。

翌朝、家の近くで、胸に刃物による深い刺し傷を負ったメリーちゃんの遺体が発見されたという…

 

…おしまい…

 

…うん…

 

…まあ、なんじゃ…

 

「メリーちゃんが実はマンドゥルゴで、旦那の血を吸おうとしたが返り討ちにあった。うわ怖いね危なかったね」的な、鳥肌モンのバンパイアストーリーに仕立てあげたいっちゅー作者の熱意は汲んでやらんでもないが…

 

…なんちゅーか…

 

さっきからすでにツッコミを入れとるんじゃが…もう、どこから手をつけてよいのか困ってしまうくらい、ツッコミどころ満載じゃな…

 

まず、メリーちゃんの餌食になったとされる旦那たちじゃが、なぜみんなでっぷり肥えとる必要があるんじゃ?肥えとると血の量も多いっちゅーんか?多いのは血じゃなくて脂肪じゃろ?

マンドゥルゴとの格闘シーンじゃが、ビビりまくっとるはずの人間が、ナイフ一丁で化け物を撃退しようなんて、無謀にも程があるじゃろ。それも、暗闇の中で突然襲いかかってきた化け物に、たったの一刺しで致命傷を与えるって、そんなことデューク東郷でも難しいんと違うか?

 

そもそも、首がチクリいうたからって、いきなりナイフはないじゃろ。そんだけ腕を動かせるスペースがあって、一撃で相手を倒すほどの腕力があるんなら、本能的に相手を突き飛ばして離れようとするじゃろ普通。

ちゅーか、侵入者を警戒するなら、まずは寝る前に戸締まりをしっかりするなり、番犬を飼うなりするのが先じゃろ普通。

 

もっとも、身体能力が人間よりも優れとるはずの吸血鬼が、ナイフごときであっさりと退散しちまうってのも、随分と情けない話じゃがな。

 

で、結局、メリーちゃんは化け物の姿で死んどったわけじゃないんじゃろ?普通の人間だったらどうするんじゃ?「勘違いでした。テヘペロ」じゃ済まんぞ?

仮にメリーちゃんがマンドゥルゴだったとしてもじゃな。結婚して一緒に暮らしとるんじゃから、旦那がナイフ片手にベッドに潜り込んどることぐらい、知っとるはずじゃろ?なんでよりによってそんな時に襲うなんてリスキーなことせにゃならんのじゃ?

 

大体、旦那がナイフなんて物騒なもんを握りしめてベッドに潜り込んどるっちゅー時に、メリーちゃんは一体どこで何をしとるんじゃ?「ちょっとあなた、そんな危ないものベッドに持ち込まないでよ!私に刺さったらどうするの!」とか言うて取り上げなかったんかの?まさか、新婚ホヤホヤだっちゅーのに、別の部屋に寝るとか、別居状態とかじゃないじゃろ?

 

ちゃんと夫婦の会話しとったんかの?旦那が被害妄想に取り憑かれて毎晩ろくに眠れんほど悩んどるっちゅーのに、カウンセリングにも連れて行かなかったんか?情緒不安定状態の旦那を平気で放置プレイなんて、いくらなんでも夫に無関心過ぎるじゃろ。そんなんじゃ「やっぱりあの子、男の金目当てに結婚したのよ 絶対そうよ」なんてご近所に陰口叩かれても、何も文句言えんぞ?

 

…ワシ、なんの話しとったんだっけ?